クラウンメロンは種から特別。長い時間をかけて独自の改良を重ね、今ではおよそ20種類の品種を四季に合わせて栽培しています。
これによって、安定した品質を保ちながら周年栽培(年中栽培すること)が可能となりました。

クラウンメロン栽培の大きな特色の一つに、隔離ベッド栽培であることがあげられます。
他産地のメロンは、野菜のように地面に苗を植え育てる地床栽培が一般的です。しかしクラウンメロンは、苗を植えてから実を結ぶまで、
地面とは完全に切り離された、限られた土の中で育てられます。
これが隔離ベッドです。これによって与える肥料と水の量をコントロールすることができます。

メロン栽培は7~8割方が「水やり」で決まるといっても過言ではありません。水の量とそれを与えるタイミングが、メロンの味を大きく左右するのです。
一般の畑のように地面に直接植えられていると、根は地面に含まれる水をどんどん吸い上げてしまいます。
それでは大雑把な味になりかねません。その時々のメロンの状態に合わせ、水と肥料を微妙にコントロールしていくことによって、
メロンの持つ繊細な肉質や甘味を引き出していくことができるのです。

メロンは成育過程で、たくさんの太陽光を必要する作物の一つです。
静岡県西部の遠州地方は、世界有数の日照地。さんさんと降り注ぐ太陽は、光を好むメロンの栽培に適しています。
さらに一般の温室はビニールハウス栽培多いのに比べ、クラウンメロンは、より太陽光線の透過率が高いガラス温室で栽培され、
太陽の恵みは余すところなくメロンに注がれています。

メロンは本当に繊細な生き物です。温室の温度管理はコンピューターで自動的に行われていますが、それでも十分ではありません。
特に梅雨の時期などは、湿度や温度の調整には細心の注意を払い、人工的に風を送ったり、暖房を入れて湿度の調整をしたりします。
これはもうマニュアルではなく経験と感覚の世界。クラウンメロン生産者が職人と言われる所以です。

クラウンメロンは一本の木におよそ30~32枚の葉がつきます。
その葉の中から3本の側枝の雌花に交配し、まず3個の小メロンの実を作ります。
少し大きくなるとさらに、その中から最適のひとつを選び残し、あとはカットしてその一つの実に、すべての栄養分が集中するようにします。
一般のメロンは1本の木から複数個のメロンを収穫しますが、クラウンメロンでは1本のメロンの木から1個のメロンしか収穫しません。
これが最大の特色です。この選ばれたメロンは、十分な栄養を受けながら、小メロン達の想いを受け継いで、立派に成長していくのです。

成長し収穫されたメロンは、県内の3ヶ所の集荷場に集められ、選任された検査員により外観(等級・玉揃・量目)、
内容(肉質・風味・熟度・病害虫の有無)、糖度(夏場は13度以上、冬場は14度以上)などの厳しい品質チェックを通り抜けなければなりません。
そしてこれらの検査基準に合格したものだけが市場へと出荷されていきます。このようにして最高のメロンの品質が常に保たれ、
また品評会を定期的におこなうことで、生産者間においても常に切磋琢磨して良いメロン作りに励んでいます。

こうして晴れて市場へデビューするメロン達は、おのおのの等級ごとにまとめられ、丁寧に箱詰めされていきます。ここにも最後のこだわりがあります。
メロン達はその大きさごとにオーダーメイドされた最適な座り心地のクッション、綿密に計算された大きさの緩衝材に程よく支えられ、
完全に守られた状態で日本全国へ旅立っていくのです。ここまで丁寧に育てられ厳しい検査をくぐりぬけてきたメロンが、最高の状態で食卓にたどりつく
ことができるよう、最後までプロフェッショナルのこだわりが光ります。

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