私が初めてクラウンメロンと出会ったのは、小学生の時のことでした。農家の友達の家に遊びに行った時に、デザートとして出してもらったのが
クラウンメロンでした。そのときのメロンの味はとにかく甘くて、「こんなにおいしい物がこの世にあるのか!」と感動したほどです。
それと同時に、友人は毎日こんなおいしい物をデザートで食べられるのか…と、子ども心に羨ましく思いました。
私の実家も農家でしたがメロンは栽培していませんでしたので、その時から「進学して農業を学ぶなら、メロン作りをしたい!」と思っていました。
そして、高校で三年間、短大で二年間メロン作りを学び、この温室農業協同組合に就職したのです。

実際に仕事としてメロン作りに携わってみると、その複雑さ、奥の深さは想像以上でした。学校で学んできたことは基礎の基礎であり、
実際のメロン作りは単なる知識だけでは立ち行かず、試行錯誤と苦労の連続でした。それでも先輩方のメロン作りを間近に見ながら様々なことを学び、
経験を積んでいく中で、なんとか人様に出せるまでのメロンを作ることができるようになったと思います。

メロンを育てる上で大切な工程はたくさんありますが、私が個人として一番心がけていることは、温室内の環境を常に清潔に保つ、ということです。
メロンは生きていますので人と同様に病気もします。そういった危険性を常に排除し、健やかに育ちやすい環境を整えるために、
整理整頓、温室周りのかたづけには特に気を配っています。目立たないことではありますが、こういった日々の小さい管理を積み重ねることで、
病気予防にもつながり、また自分自身の仕事に対する意識を高く保つ秘訣にもなっていると思います。

クラウンメロンは、365日消費者の方にお届けできる温室栽培の環境にあります。
温室栽培といっても、四季を通じてメロンを取り巻く環境は変わっていきます。
そのような中で生産者は、年間を通して出来るだけ安定した品質を提供できるように努力しています。
その日の環境を的確に分析し、日照条件、気候変化などを、過去の記録や経験に照らし合わせながら瞬時に判断し、
対応していかなければいけません。365日、常に神経をはりめぐらしていなければならない、これが大変なことです。

そんな生産者の苦労が報われる瞬間は、やはりメロンを食べて喜ばれるお客様の顔を見るときです。
家庭の食卓にのぼるメロンを皆さんが食される様子は見ることはできませんが、温室農業組合では、
実に年間5000人以上の方が「温室見学と試食体験ツアー」で施設にお見えになられ、
わたしたちの目の前でメロンを試食されます。
その時に、本当に美味しそうに食べられ、喜ばれている姿をみると、「よし、また頑張ろう!」と
本当に励みになります。非常にやりがいを感じられる瞬間です。

クラウンメロンは昨今、メディアにおいても「最高級メロン」として頻繁に取り上げられ、その認知度も高まってきました。
農林水産大臣賞を取ったことももちろんですが、実際に食べていただいた方々のお墨付きがあるからだと自負しています。
ここまでのブランドに育ったその裏側には、先駆者達の大変な苦労がありました。
ですから私達も、クラウンメロンを作っている自負と共に、その名前に甘えることなく、品評会や品種改良の技術で切磋琢磨しながら、
品質を守り、更にその価値を高めていけるよう、日々努力精進していきたいと思っています。
また若い人の農業離れが著しい時代でもあるので、そういった点においてもメロン作りの楽しさ、歓びを伝えていければ良いと思っています。

Back to Top